製薬用包装材料における有害物質移行のリスク

近年、医薬品中の有害物質の過剰な含有が原因で、下記のような医薬品の安全性に関する問題が頻繁に発生しています。

問題例:

  • ある経口液剤から、過剰な鉛が検出された。調査の結果、様々な接触材料から医薬品へのごくわずかな鉛の移行が原因であることが判明した。
  • ある注射用水から、過剰な安息香酸塩が検出された。この物質は、人間の内分泌系に悪影響を及ぼす可能性があるものだった。

低移行性ラベル材料は、医薬品包装の安全性をどのように守ることができるのか?

これらの安全上の問題は、主に医薬品容器から薬剤に有害物質の移行することです。

通常、製薬メーカーはガラス瓶のような低移行性包装材料を使用して、有害物質が薬剤中に移行するのを防いでいます。しかし近年、プラスチック容器が持つ「割れにくい」「費用対効果が高い」「生産効率が高い」といった利点から、HDPEやLDPEなどのプラスチック素材を内包装に使うメーカーが増えました。残念ながら、一部のプラスチック容器に含まれる特定の有機化合物が薬剤中に移行し、汚染につながる可能性があります。

特に見過ごされがちなのが、粘着ラベル素材に含まれる有害物質です。ラベルは一般的に包装の二次的な部分と見なされ、医薬品と直接接触することはないと考えられてきました。しかし、EUの規制当局は、製品サンプルに対するより厳格な移行および抽出試験を導入し始めています。EUは、特定のラベル成分がプラスチックを透過して包装材に移行し、液剤や錠剤に溶出して取り返しのつかない害を引き起こす可能性があると指摘しています。

エイブリィ・デニソンの低移行性強粘着ソリューション

エイブリィ・デニソンの低移行性強粘着剤は、製薬用ラベルに広く使われている、溶剤を含まないアクリル系粘着剤です。この粘着剤は、高粘着力、低揮発性、低臭気、そして低移行性を特徴とし、医療機器や食品接触材料の安全基準を満たしています。

  • 溶剤不使用: 粘着剤に揮発性の有機溶剤が含まれていないため、使用中に有害ガスや揮発性成分が放出されず、薬剤への物質移行リスクを最小限に抑えます。
  • 低揮発性: 粘着剤の揮発性成分が極めて少ないため、プラスチック容器を透過する有害物質の移行を効果的に減らします。
  • 準拠材料: 粘着剤に使用されるすべての材料は、医薬品と接触する際の安全基準および規制に準拠しています。
  • 特殊な配合: 製薬業界の厳しい要件を満たすよう専門的に配合・製造されており、有害物質の移行を防ぎます。

エイブリィ・デニソンの低移行性試験ソリューション

私たちは、低移行性試験に関して以下のソリューションを提供しています。

  • 製品仕様書と移行分析
  • 顧客向け試験のための技術分析
  • 粘着剤の移行率比較試験

現在、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、先述の粘着剤に対してドラッグマスターファイル(DMF)番号 27506 を発行しており、企業は医薬品の製造販売承認申請でこれを参照できます。また、この粘着剤は FDA 規格 175.105 に準拠しており、欧州の食品接触材料規制(EC) No 1935/2004 の要件、そして中国の物質移行に関する GB4806.1 規格にも適合しています。食品、医薬品、化学薬品などの非直接接触ラベリングに適しており、乾燥食品への直接接触にも使用可能です。

さらに、この粘着剤は優れた粘着力と追従性を発揮し、抜群の性能を誇ります。最小直径10mmという小さな、ガラス、PP、PE製の小径容器へのラベリング用途で、特に高い性能を示します。

医薬品ラベルは医薬品の重要な構成要素であり、医薬品の安全性はすべての患者さんの健康に影響を与えます。エイブリィ・デニソンの低移行性粘着ラベルソリューションは、医薬品包装の安全性を確保する最後の砦となるのです。

対象商品

BW0508:Synthetic Paper/S692NP/BG40#White imp EN
AW3285L:LW Semigloss Paper FSC Mix Credit/S692NP/BG40#White imp EN
AWS1683:Fasson®Semi-gloss Paper/SF603P/BG40# white IMP EN
BWS2055:Fasson®50u clear BOPP TC/SF603P/BG40# WH FSC Mix Credit IMP EN

*本記事はグローバル向けに書かれたものであり、上記対処商品には、国内に在庫していない製品も含まれます。ご要望の際は担当営業までご連絡ください。

お問い合わせ

さらに詳しい情報が必要な場合やご質問がございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡ください。担当者より改めてご連絡させていただきます。